指の痛みは、場所でだいたい見分けられる

指の痛みは、どこが痛むかで、おおよその見当がつきます12345。

指の痛みは、場所で見分ける痛むところと、よくある名前

痛む場所名前特徴
第1関節(指先に近い関節)ヘバーデン結節こぶ・赤み・曲がる。40代以降の女性に多い。リウマチとは別
第2関節(真ん中の関節)ブシャール結節第1関節と同じ変形性関節症
親指のつけ根(手首寄り)母指CM関節症つまむ・ふたを開けると痛い。進むと親指が開きにくい
指のつけ根(手のひら側)ばね指朝に強い。曲げ伸ばしで引っかかり、はねる

見当をつけるための目安です。診断は医師が行います。

出典:日本整形外科学会「へバーデン結節」「ばね指(弾発指)」/日本手外科学会 手外科シリーズ3・4・15

「指の関節が腫れた。リウマチでは」と心配される方が多いのですが、第1関節が中心なら、ヘバーデン結節の可能性が高く、これは関節リウマチとは別の病気です。関節の軟骨がすり減る「変形性関節症」の1つです12。第2関節や手首が左右そろって腫れるときは、最後の「こんなときは、受診を」をご覧ください。

ヘバーデン結節は、ありふれた体質の変化

日本の住民約1,500人の両手をレントゲンで調べた研究があります6。レントゲンの変化そのものは、中⁠高⁠年ではごく普通のことなのです。

レントゲンの変化は、ほぼ全員に日本の住民1,535人、両手のレントゲン

男性女性
指の関節に変形性関節症の変化(1か所以上)89.9%92.3%

いちばん多いのは第1関節。痛みや握力の低下と関係したのは、変化が進んだ関節でした。

出典:Kodama R, et al. Mod Rheumatol 2016;26:767-73(ROAD研究 第3回調査)

なりやすさには、体質(遺伝)の影響が大きいことがわかっています。英国の女性の双子を調べた研究では、手と膝の変形性関節症のなりやすさの多くの部分が、遺伝で説明されました7。母や祖母に同じこぶがある方も多いでしょう。手を使いすぎたことだけが原因ではありません。

変形は戻らない。でも、痛みは変わる

残念ながら、こぶや曲がりを元に戻したり、進むのを止めたりできると確かめられた治療は、まだありません8。

けれど、痛みと変形は、同じ速さで進むわけではありません。手の変形性関節症の人を6年間追った研究では、痛みや不便が悪くなった人は半分ほどで、レントゲンの変化が進んだかどうかと、痛みの変化は関係していませんでした9。赤く腫れてずきずきする時期は、関節の中で炎症が強まっている時期と重なります10。

つまり、手を打つ価値があるのは「今の痛み」と「使える手」です。

赤く腫れて痛む時期は休ませ、どうしても使うときはテーピングで守ります1。夜だけ第1関節を添え木で固定すると、痛みと伸びの悪さがよくなったという小さな試験もあります11。落ち着いたら、使い方の工夫と体操へ進みます。

いちばん効いたのは「使い方」

50歳以上の257人を対象にした英国の試験では、指を守る使い方(関節保護)を学んだ人は、半年後に、改善の基準に届いた人が3人に1人でした。学ばなかった人は5人に1人です12。道具(自助具)を使うと、手の働きが長くよくなることも、試験のまとめで示されています13。ポイントは、1つの関節、とくに指先と親指に、力を集めないことです。

指を守る使い方1つの関節に、力を集めない

守り方家での例
重い物は両手で、体に近づけて鍋や買い物袋は両手で。袋は指でなく腕にかける
太い握りを使うペン・包丁・歯ブラシの柄を太く(スポンジを巻く)
同じ握り方を長く続けないスマホは両手か台に置いて。編み物や草取りは休みを入れる
親指に力をかけすぎない瓶のふたはオープナーで。ペットボトルは手のひら全体で
道具に任せるぞうきんは絞らずモップや絞り器で
出典:Dziedzic K, et al. Ann Rheum Dis 2015;74:108-18(守り方の原則)。家での例は編集部による

指の体操は、少しずつ毎日

指の体操の試験をまとめると、痛みは少し楽になり、害はほとんどありませんでした14。家での体操を3か月続けた女性の試験では、日常の動作や握る力もよくなっています15。体操は、変形を治すためではなく、握る力と指の動きを保つために行います。

指の体操各3回から始めて、毎日10回まで

体操やり方
手首の曲げ伸ばし机に前腕を置き、手首をゆっくり上下に
グーとパー指を大きく開いてから、軽く握る
指先で「O」親指と各指の先を、順に合わせる
親指を開く親指を人差し指から、できるだけ離す
指の曲げ伸ばし指をまっすぐ伸ばす → 第2・第1関節を曲げる → 握る

痛みが強くならない範囲で。赤く腫れて痛む時期は休みましょう。

出典:Dziedzic K, et al. Ann Rheum Dis 2015;74:108-18/Østerås N, et al. Cochrane Database Syst Rev 2017;CD010388

親指のつけ根が痛む人には、サポーター(装具)が長く効くことがわかっています13。整形外科で、自分の手に合うものを相談してください。

痛み止めの塗り薬や飲み薬、関節への注射を使うかどうかは、整形外科で相談を。手術は、痛みがとれない、変形で日常生活に困る、というときに考えます12。

ばね指は、多くが手術なしで落ち着く

ばね指は、指を曲げる腱(すじ)と、腱を押さえる「腱鞘(けんしょう)」の間の通り道の問題です。ベルトとベルト通しのような関係で、腱鞘が厚くなったり腱が太くなったりすると、引っかかりが起こります34。更年期や妊娠・出産のころの女性、手をよく使う人、糖尿病の人に多く、親指・中指・薬指によく起こります3416。更年期のころの関節や筋肉の変化は、更年期の関節の痛みは、気のせいではないにまとめています。

治療は、手術なしの方⁠法から始めます317181920。

ばね指の治療手術なしの方⁠法から始める

わかっていること
装具(指のつけ根を伸ばして固定)注射と同じくらいよくなり、1年後まで差がなかった
注射多くの人で数か月以上効くが、再発もある
装具・注射を続けてよくなったのは約7割
糖尿病がある注射が効きにくく、手術になりやすい
手術腱鞘の一部を切る。小さな傷ですむ
出典:Atthakomol P, et al. Clin Orthop Relat Res 2023/日本整形外科学会「ばね指(弾発指)」/Minkhorst K, et al. Arch Phys Med Rehabil 2025/Baumgarten KM, et al. J Bone Joint Surg Am 2007

糖尿病のある方は、そのことを主治医にも伝えてください21。

「指の痛みの常識」を確かめる

指の痛みの話題は、動画やSNSでもよく見かけます。主なものを、研究で確かめました81422。

「指の痛みの常識」を研究で確かめる○=研究で支持 △=一部だけ ×=研究と合わない

よく見る話研究でわかったこと判定
指の関節が腫れたらリウマチ第1関節ならヘバーデン結節(変形性関節症)。リウマチとは別×
ストレッチで変形が治る変形を戻す・止める治療は確かめられていない×
体操で痛みが楽になる少し楽になる。害はほとんどない○
指の痛みの原因は手首にある指の関節の病気。手首が原因という研究は見つからない×
使い方を変えると楽になる試験で効果が確かめられている○
女性ホルモンに似たサプリで治る比べる相手のいない小さな試験だけ△
ばね指はすぐ手術装具や注射で、多くは手術なしで落ち着く×
出典:本記事の出典1〜22

こんなときは、受診を

  • 第2関節、指のつけ根、手首が、左右そろって腫れる。朝のこわばりが長く続く。だるさや微熱がある。関節リウマチなど、別の病気のことがあります。
  • 1本の指だけが急に真っ赤に腫れて、熱をもつ。小さな傷のあとなら、なおさら早めに。
  • 指が曲がったまま伸びない。ばね指が進んでいるかもしれません4。
  • 指のしびれがある。とくに夜や明け方、親指から薬指にかけて。手首や首の神経の病気のことがあります。首から来るしびれは肩こりのページの受診の目安もご覧ください。
  • 第1関節の近くの、透き通った水ぶくれのようなでっぱり(粘液のう腫)2は、自分でつぶさないでください。

まとめ

  • 第1関節のこぶは、ヘバーデン結節のことが多い。ありふれた体質の変化で、関節リウマチとは別の病気。
  • 変形は戻らないが、痛みは変わる。腫れて痛む時期は休ませて守る。
  • いちばん効いたのは指を守る使い方。体操は少しずつ毎日。親指のつけ根にはサポーター。
  • ばね指は、装具や注射で多くが手術なしで落ち着く。治らなければ小さな手術。
  • 左右そろって腫れる、急に赤く腫れる、しびれがある、は受診を。