背中が丸くなる理由は、ひとつではありません

背中が強く丸くなった状態は、高齢の方には、めずらしくありません1。

理由のひとつは、背骨の骨折(圧迫骨折)です。骨粗鬆症で背骨がつぶれると、背中が丸くなり、背が縮みます。背骨の骨折の多くは、はっきりした痛みがありません2。気づかないうちに折れていることがあるのです。

けれど、背中が丸い人の多くは、背骨が折れていません1。もうひとつの大きな理由が、背中の筋肉の衰えです。

背中の筋肉の力は、年齢とともに落ちていきます。日本の50歳以上の約570人を調べた研究では、背中の筋肉が弱い人ほど、腰が丸くなっていました3。手足の筋肉と同じように、背中の筋肉にもサルコペニアが起こるのです。

姿勢は、からだのはたらきと結びついています

背中を伸ばす筋肉の力は、骨粗鬆症の方の暮らしやすさといちばん強く結びついていた、という日本の研究があります4。骨密度より強い結びつきでした4。

体が前に傾いている人ほど、歩くのが遅く、片脚で立てる時間が短く、ロコモ(移動する力の衰え)にも当てはまりやすいことがわかっています5。

背中の丸い人は、転びやすいことも報告されています67。背中の丸い人ほど寿命が短い傾向も報告されていますが、これは観察研究で、姿勢そのものが原因とまでは言えません89。

壁を使って、自分で確かめる

壁に、かかととお尻と背中をつけて、まっすぐ立ちます。あごは引きすぎず、前を向きます。

壁立ちテスト:左は後頭部が壁についている姿勢、右は背中が丸く後頭部が壁から離れている姿勢
壁立ちテスト:左は後頭部が壁についている姿勢、右は背中が丸く後頭部が壁から離れている姿勢
  • 後頭部が、壁につかない
  • 肋骨のいちばん下と、腰の骨(骨盤)のすき間が、指2本分より狭い(脇腹で確かめます)

どちらかに当てはまる人は、気づかない背骨の骨折があることが多いとされています10。これだけで骨折があるとは決まりませんが、骨の検査を受けるきっかけにしてください。

もうひとつの目安は、身長です。若いころや、以前の健診と比べて、身長が縮んでいたら、背骨の骨折を疑うサインです2。健診の記録を、一度見比べてみましょう。

背中の筋肉は、何歳からでも鍛えられます

骨粗鬆症の日本の女性80人を2つに分けた研究があります11。片方は、家で、うつぶせから上体を少し起こすだけの軽い運動を続けました。4か月後、運動をした人たちは、背中の筋力が上がり、暮らしやすさの点数も上がりました11。

背中の運動と姿勢の練習を半年続けると、背中の丸まりが少し改善した、という研究もあります12。研究をまとめた分析でも、運動で背中の丸まりは改善する方⁠向に向かい、暮らしやすさも上がっていました13。

背中の筋肉を鍛えた人は、10年後の背骨の骨折が少なかった、という報告もあります14。ただし、50人ほどの小さな研究です。

家でできる、背中の運動

  1. うつぶせになり、おなかの下に枕やクッションを入れます。腕は体の横に置きます。
  2. 顔を下に向けたまま、胸を床から少しだけ浮かせます11。そのまま5秒保ちます。
  3. ゆっくり戻します。

はじめは5回から。慣れてきたら、少しずつ10回まで増やしましょう。

ポイントは、反らしすぎないことです。上体が床と平行になるくらいまでで十分です11。腰や背中に痛みが出たら、その日はやめましょう。

ふだんの動き方も大切です。背中を丸めたまま重いものを持つ、上体を起こす腹筋運動などは、背骨に負担をかけます。避けたい動きと、代わりの動き方は、「骨粗鬆症があっても、筋トレはできる」にまとめています。

背骨の骨折がある、またはあった方は、ひとりで始めず、まず主治医やリハビリの専門職に相談してください15。

こんなときは受診を

  • 物を持ち上げた、尻もちをついた、せきやくしゃみをした、といった軽いきっかけのあとに、急に背中や腰が痛くなった
  • 身長が縮んでいた。背中が丸くなってきた2
  • 寝返りや起き上がりで、背中が強く痛む
  • 脚がしびれる、力が入らない、歩き方が変わった
  • 数か月のうちに、急に背中や腰が曲がってきた

もっと詳しく知りたい方へ