膝の軟骨がすり減り、骨の形が変わっていく病気

変形性膝関節症は、膝の関節のクッションである軟骨が少しずつすり減り、まわりの骨の形も変わっていく病気です。

日本の住民を調べた研究では、レントゲンで変化が見られる人は50代から目立って増え、女性に多くなっていました1。

レントゲンで膝に変化がある人の割合年代別(日本の住民調査)

年代男性女性
39歳以下0%3.2%
40代9.1%11.4%
50代24.3%30.3%
60代35.2%57.1%
70代48.2%71.9%
80歳以上51.6%80.7%

レントゲンで変化がある人の割合です。痛みがあるとは限りません。

出典:Yoshimura N, et al. J Bone Miner Metab 2009;27:620-8(ROAD study・3,040人、KL分類2以上)

なりやすくなる要因として、日本の診療ガイドラインは、年齢、女性、体重、膝のけがの経験、膝に負担のかかる仕事や動作を挙げています2。このうち、体重と、太ももの前の筋力は、自分で変えられます2。

レントゲンの「すり減り」と、痛みは一致しない

レントゲンで変化があっても、痛くない人はたくさんいます。反対に、変化が軽いのに痛む人もいます3。日本の研究では、女性は、レントゲンで変化がなくても膝が痛むことが多いことが分かっています4。

レントゲンと痛みは、一致しない4通りの人がいる

痛みあり痛みなし
レントゲンで変化ありよくあるよくある(変化があっても痛まない)
レントゲンで変化なしある(とくに女性)―

レントゲンは大事な検査。でも、それだけでは決めません。

出典:Bedson J, et al. BMC Musculoskelet Disord 2008;9:116/Muraki S, et al. Osteoarthritis Cartilage 2009;17:1137-43/日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」

膝の痛みは、軟骨の量だけで決まりません。関節の袋の炎症、骨の中の変化、太ももの前の筋力、気持ちの面も関わります2。レントゲンでは、軟骨や半月板、炎症そのものは写りません2。

ですから、レントゲンは大事な検査ですが、それだけで判断しないのが、国内外の考え方です23。

  • 「すり減っていると言われた」=「これから必ず痛くなる」ではありません。
  • 「レントゲンがきれい」=「痛みは気のせい」でもありません。痛みがあれば、相談してください。

軟骨は戻らない。でも、痛みと動きやすさは良くなる

日本の診療ガイドラインは、病気の進行そのものを止めたり、元に戻したりする治療は、まだないと書いています。いまある治療は、痛みを中心とした症状を良くするためのものです2。

そのうえで、治療の土台になるのは、次の3つです。

  1. 知る:病気のしくみと、痛みとの付き合い方を知る。
  2. 動く:運動は、日本の指針で「強く推奨」されています2。海外の指針も、運動を治療の中心に置いています56。
  3. 体重:太り気味の方は、運動と組み合わせて体重を減らすと、痛みと動きやすさが良くなりやすくなります27。

運動や減量で、すり減った軟骨が元に戻るという証拠はありません。でも、痛みと動きやすさは良くなります。 体重が大きく減った人では、軟骨の傷み方がゆるやかだった、という観察の研究もあります8。

具体的な動き方は、膝や腰が痛いときの、動き方にまとめています。痛みの目安(信号の3色)や、膝がつらい日の運動の工夫も、そちらをご覧ください。

「年のせいだから、仕方ない」ではない

年齢は大きな要因です。けれども、体重や太ももの前の筋力のように、自分で変えられる要因もあります2。太ももの前の筋力が弱いほど、膝が痛む傾向があることも、日本の研究で示されています2。

「年のせい」とあきらめず、動ける膝を保つことを目標にしましょう。

早めに整形外科へ

次のようなときは、変形性膝関節症とは別の病気のことがあります。早めに整形外科を受診してください。

  • 膝が急に腫れた、熱をもって赤い。熱がある。変形性膝関節症では、膝が熱をもつことはほとんどありません2。糖尿病や関節リウマチがある方、人工関節が入っている方、最近膝に注射をした方は、特に急いでください。
  • 膝が引っかかって、急に伸びない、曲がらない2。
  • 転んだり、ひねったりした後から、体重をかけられない。

運動などを2〜3か月続けても良くならない、または悪くなるときも、相談してください2。

軟骨の「再生」や、注射・手術のこと

「膝の軟骨は、まだ戻せる」という動画や広告を目にすることが増えました。再生医療で、いま分かっていることは膝の軟骨は再生する?に、ヒアルロン酸やステロイドの注射、人工関節などの手術は膝の注射と手術にまとめています。

まとめ

  • 変形性膝関節症は、50代から増え、女性に多い。
  • レントゲンの「すり減り」と、膝の痛みは一致しない。レントゲンだけで決めない。
  • 軟骨は戻らないが、運動と(太り気味なら)減量で、痛みと動きやすさは良くなる。
  • 急な腫れや熱、引っかかり、体重をかけられないときは、早めに受診を。