運動は、治療の柱のひとつです

日本のガイドラインでは、骨折を防ぐために運動療法を「行うことが提案されています」1。運動は、食事や薬と並ぶ、治療の柱とされています1。

海外の専門家の合意も、筋トレとバランスの運動を組み合わせることを強く勧めています23。

動かずにいると、筋力もバランスも落ちて、かえって転びやすくなります。

骨と転倒の、両方にはたらきます

運動を続けると、骨密度は少し上がる方⁠向に向かいます4。骨が弱めと言われた人でも、同じような結果が出ています4。

骨折も減る方⁠向の結果が出ていますが、研究の数が少なく、まだ確かとは言えません15。

一方、転ぶ回数を減らすことは、より確かな根拠で示されています1。

目安は「筋トレ週2日以上、バランスは毎日少しずつ」

  • 筋トレ:週2日以上。脚・お尻・胸・腕など、大きな筋肉をまんべんなく236。
  • バランスの運動:できれば毎日、少しずつ2。

歩くのは、よいことです。そこに、筋トレとバランスの運動を足しましょう。歩くだけにしないのがポイントです2。

家でできる運動

このサイトの5つの種目(椅子スクワット・壁腕立て伏せ・かかと上げ・片脚立ち・継ぎ足立ち)は、どれも自分の体重と、椅子や壁を使う運動です。専門家が骨粗鬆症の方に勧める運動の中に入っています12。

椅子スクワット

椅子スクワットの3つの段階:浅く座る、背すじを伸ばしたまま体を前に倒して立⁠ち⁠上⁠がる、まっすぐ立つ
椅子スクワットの3つの段階:浅く座る、背すじを伸ばしたまま体を前に倒して立⁠ち⁠上⁠がる、まっすぐ立つ
  1. 椅子に浅く座り、足を腰幅に開きます。腕は胸の前で組みます(立⁠ち⁠上⁠がりにくいときは、腕を前にのばします)。
  2. 背すじを伸ばしたまま、股関節から体を前に倒し、ゆっくり立⁠ち⁠上⁠がります。
  3. まっすぐ立ったら、ゆっくり座ります。これを10回。

ほかの種目の手順は、鍛えるのページにあります。どの運動も、ゆっくり、はずみをつけずに行います。バランスの運動は、すぐつかまれる物のそばで行いましょう2。

背中を伸ばして姿勢を保つ運動も、専門家から勧められています23。

気をつけるのは「重さ」より「背骨の動かし方」

専門家は、「◯kgまで」のような一律の制限より、体の動かし方を大切にしています23。

避けたい動き

  • 背中を丸めたまま、重いものを持つ。床から持ち上げる、床に下ろす
  • 上体を起こす腹筋運動、立ったまま前屈して床に手をつく7
  • 勢いよく、深く、重さを持ってねじる

代わりにこうします

  • 曲げるときは、背すじを伸ばしたまま、股関節とひざから
  • 物は、体に近づけて持つ
  • 向きを変えるときは、腰をねじらず足を踏みかえる
  • 洗濯かごなどは、床ではなく腰の高さに置く
  • おなかは、上体を起こすのではなく、力を入れて保つことで鍛える

ヨガやピラティスの教室に通っている方は、深く前に曲げるポーズは控えめにしましょう。骨粗鬆症であることを、教室の先生に伝えておくと安心です23。

重いおもりの筋トレは、指導を受けて

骨が弱めの方が、専門家のそばで指導を受けながら、重いおもりを使う筋トレを行い、骨密度と体の力が上がったという研究があります89。

ただし、これはジムで、少人数の指導を受けて行ったものです。家で始めるときは、自分の体重を使う運動から始めましょう23。

治療中の方も、背骨の骨折がある方も

骨粗鬆症の治療中の方も、主治医と相談して運動を続けましょう110。薬のことは、自分でやめたり変えたりせず、主治医に相談してください。

背骨の骨折(圧迫骨折)がある、またはあった方は、ひとりで始めず、まず主治医やリハビリの専門職に相談してください。跳ぶ・走るは控え、歩くのは早歩きまでにしましょう23。骨折のあとの運動は、まだ研究が少ないためです11。

もっと詳しく知りたい方へ

骨粗鬆症の予防・検査・セルフケアは「NO-POROSIS(骨活ガイド)」、お薬と治療の続け方は「POROSIS-CARE(治療と暮らし)」で、同じ医師が監修して詳しく解説しています。

こんなときは受診を

背骨の骨折は、はっきりした痛みがないことも多いものです1。次のようなときは、受診してください。

  • 物を持ち上げた、尻もちをついた、せきやくしゃみをした、といった軽いきっかけのあとに、急に背中や腰が痛くなった
  • 健診の記録と比べて、身長が縮んでいた。背中が丸くなってきた1
  • 寝返りや起き上がりで、背中が強く痛む
  • 脚がしびれる、力が入らない、歩き方が変わった
  • 転んで、けがをした

運動の途中で背中に急な痛みが出たら、その日はやめましょう。痛みが続くときは受診してください。