ただ、これは私の経験です。研究で確かめると、昼の眠気の主な原因は昼ごはんではありませんでした。一方で、食べる量や順番で食後の血糖の上がり方が変わることは、日本の定食を使った試験ではっきり示されています。
定食と牛丼で確かめた試験
健康な日本人が病院の食堂で昼の定食を食べ、腕に貼った測定器で血糖を4時間追った試験があります1。
食べる順番で、食後の血糖の山はどう変わったか健康な日本人の昼食で、連続測定器を使って確かめた試験
| 食べ方 | 食後の血糖の山(mg/dL) |
|---|---|
| 定食:ごはんを先に(15分後におかず) | 169 |
| 定食:おかずを先に(5〜15分後にごはん) | 141〜149 |
| 牛丼:具とごはんを一緒に | 160 |
| 牛丼:具を先に(15分後にごはん) | 149 |
定食はごはん120 g(茶碗に軽く1杯)。おかずを先に食べ始めて5分あければ、山は低くなっていました。
ごはんの前に、おかずやみそ汁に5分ほど箸をつけておけば十分でした1。牛丼の具だけを先に食べるのは少し寂しい気もしますが、それでも山は低くなっています。

順番で変わる理由の一つは、おかずを先に食べると、あとから来たごはんが胃からゆっくり送り出されることです。2型糖尿病の人で魚や肉を先に食べた試験では、胃から出ていく速さが遅くなり、血糖の上がり方も小さくなっていました2。米国の試験では、パンとジュースを最後に回すと、1時間後の血糖が約199から約126 mg/dLになりました3。
どこまでわかっているか
食べてすぐの効果は確かでも、何年も続けたときの効果はまだはっきりしません。
食べる順番について、わかっていること試験とそのまとめ、学会の指針から
| 問い | わかったこと | 確かさ |
|---|---|---|
| 食後すぐの血糖の山は低くなるか | 低くなる。健康な人でも、糖尿病の人でも | 試験で確か |
| 2年続けると、血糖の平均(HbA1c)は下がるか | 日本の1つの試験では下がったが、試験のまとめでは差がわずか〜なし | 低い |
| 糖尿病を防げるか | 確かめた試験は見つからなかった | わからない |
| 日本糖尿病学会の指針に載っているか | 2024年版の食事療法の章には載っていない | — |
「野菜を先に」は日本で生まれた食べ方で、2年続けた試験も日本にあります4。ただ、試験をまとめると差は小さく56、日本糖尿病学会の2024年の指針にも項目はありません7。お金もかからず損もしない工夫ですが、これだけで糖尿病を防げるとは考えないでください。
食後に動く
いつ動くと、食後の血糖が下がるか食事の前後で動く時刻を比べた試験から
| 動く時刻 | 食後の血糖 |
|---|---|
| 食事の前 | 下がらなかった |
| 食後すぐ | 下がった。早いほど効果が大きい |
| 毎食後に10分歩く | 1日1回30分歩くより、下がった。夕食後でとくに大きい |
| 座りっぱなしを、短い歩きで区切る | 下がった |
食後の運動は、早く始めるほど効いていました8。日本糖尿病学会の指針も、食後の運動に食後の高い血糖を下げる効果を期待しています7。
食べ終わったら、片付けや買い物、ひと駅ぶん歩くくらいで構いません。ソファに直行する前の10分を考えてみてください。デスクワークの方は、座りっぱなしは、30分ごとに区切るも参考になります。

昼ごはんのあとの眠気
昼ごはんのあとの眠気について、わかっていること試験と総説から
| わかっていること | 研究 |
|---|---|
| 午後の早い時間の眠気は、昼食を食べなくても来る。体内時計のリズムによる | 総説 |
| 量の多い昼食(922 kcal)は、軽い昼食(305 kcal)より、運転中の眠気を強めた | 寝不足の若い男性12人の試験 |
| 食事の中身(糖質が多いか、脂が多いか)で眠気が変わるかは、研究で結果が分かれる | 総説と、16人・18人の試験 |
| 血糖の上がり下がりが眠気の原因かどうか | 確かめられていない |
「血糖が急に上がって下がるから眠くなる」という説明をよく見ますが、はっきり確かめられてはいません。糖質の多い昼食で眠気が強まるという総説がある一方で9、脂の多い食事と糖質の多い食事で眠気が変わらなかった試験もあります10。
それでも、昼を軽めにするのは筋が通っています。量の多い昼食で眠気が強まった試験があるからです11。午後の眠気そのものは体内時計のリズムなので、前の晩の睡眠も見直してください119。
健康な人の血糖も、食後には上がる
健康な人の血糖も、食後には上がる体に貼る測定器で、1日じゅう測った研究から
| わかったこと | |
|---|---|
| 1日の平均 | 98〜104 mg/dL(60歳を超えるとやや高い) |
| 140 mg/dLを超える時間 | 1日に約30分 |
| 健康な日本人の定食の昼食 | 山は140〜170 mg/dLほど |
糖尿病かどうかの判定(ブドウ糖を飲む検査)では、2時間後に140 mg/dL未満なら正常です。
腕に測定器を貼り、食事のたびに数字を確かめる人も増えました。測定器を使った生活指導の試験は大半が糖尿病の人を対象にしたもので、効果も控えめでした12。健康な人が急いで使う理由は、今のところ見当たりません。
筋肉は、ブドウ糖の受け皿
食後に血液からブドウ糖を取り込む場所の、5分の4ほどは筋肉です13。米国の1万人あまりを調べた研究では、筋肉の多い人ほどインスリンがよく効き、糖尿病やその手前の人が少なくなっていました14。筋肉を保つことは、食べ方の工夫と並ぶ、長い目で見た血糖対策だと私は考えています。やり方は50歳からの筋トレ、週2回からにあります。
早食いと、甘い飲み物
日本の会社で働く男性2,050人を7年追った研究では、早食いの人の糖尿病の発症は、ゆっくり食べる人の約2倍でした。ただし体重の違いを差し引くと、差は消えました15。早食いそのものより、早食いで食べすぎて体重が増えることが響いていると考えられます。
甘い飲み物については、砂糖は、まず「飲み物」から減らすにまとめています。
こんなときは受診を
こんなときは、受診を食べ方の工夫だけで様子を見ないほうがよいとき
| こんなとき | どうする |
|---|---|
| のどが渇く、水をよく飲む、尿が多い、体重が減ってきた | 糖尿病の典型的な症状。健診を待たずに受診 |
| 健診で空腹時血糖126 mg/dL以上、またはHbA1c 6.5以上(治療していない) | すぐに受診 |
| 健診で空腹時血糖110〜125 mg/dL、またはHbA1c 6.0〜6.4 | 精密検査と生活の見直しを |
| 血糖を下げる薬やインスリンを使っている | 食べ方や食後の運動を変えるときは、主治医と(低血糖のおそれ) |
| 昼に会議や運転中、寝てしまうほど眠い | 寝不足や睡眠時無呼吸のことがある。相談を |
健診の数字の読み方は、健診の「要再検査」を、引き出しにしまわないにあります。
まとめ
- ごはんは、おかずのあとに。5分あければ足りる。
- ただし、長く続けた効果はまだ確かではない。
- 食後は早めに、10分ほど動く。
- 昼の眠気の主役は体内時計。昼ごはんは軽めに。
- 血糖の長い目の対策は、筋肉をつけること。