ただ、これは私の経験です。研究で確かめると、昼の眠気の主な原因は昼ごはんではありませんでした。一方で、食べる量や順番で食後の血糖の上がり方が変わることは、日本の定食を使った試験ではっきり示されています。

定食と牛丼で確かめた試験

健康な日本人が病院の食堂で昼の定食を食べ、腕に貼った測定器で血糖を4⁠時⁠間追った試験があります1。

食べる順番で、食後の血糖の山はどう変わったか健康な日本人の昼食で、連続測定器を使って確かめた試験

食べ方食後の血糖の山(mg/dL)
定食:ごはんを先に(15分後におかず)169
定食:おかずを先に(5〜15分後にごはん)141〜149
牛丼:具とごはんを一緒に160
牛丼:具を先に(15分後にごはん)149

定食はごはん120 g(茶碗に軽く1杯)。おかずを先に食べ始めて5⁠分⁠あ⁠け⁠れ⁠ば、山は低くなっていました。

出典:Kurotobi Y, et al. Nutrients 2025;17:658

ごはんの前に、おかずやみそ汁に5分ほど箸をつけておけば十分でした1。牛丼の具だけを先に食べるのは少し寂しい気もしますが、それでも山は低くなっています。

お盆の定食。ごはんより先に、みそ汁とおかずに箸をつける
お盆の定食。ごはんより先に、みそ汁とおかずに箸をつける

順番で変わる理由の一つは、おかずを先に食べると、あとから来たごはんが胃からゆっくり送り出されることです。2型糖尿病の人で魚や肉を先に食べた試験では、胃から出ていく速さが遅くなり、血糖の上がり方も小さくなっていました2。米国の試験では、パンとジュースを最後に回すと、1時間後の血糖が約199から約126 mg/dLになりました3。

どこまでわかっているか

食べてすぐの効果は確かでも、何年も続けたときの効果はまだはっきりしません。

食べる順番について、わかっていること試験とそのまとめ、学会の指針から

問いわかったこと確かさ
食後すぐの血糖の山は低くなるか低くなる。健康な人でも、糖尿病の人でも試験で確か
2年続けると、血糖の平均(HbA1c)は下がるか日本の1つの試験では下がったが、試験のまとめでは差がわずか〜なし低い
糖尿病を防げるか確かめた試験は見つからなかったわからない
日本糖尿病学会の指針に載っているか2024年版の食事療法の章には載っていない—
出典:Imai S, et al. Asia Pac J Clin Nutr 2011/Okami Y, et al. BMJ Open Diabetes Res Care 2022/Kampmann-Gongoll K, et al. Clin Nutr 2026/日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』

「野菜を先に」は日本で生まれた食べ方で、2年続けた試験も日本にあります4。ただ、試験をまとめると差は小さく56、日本糖尿病学会の2024年の指針にも項目はありません7。お金もかからず損もしない工夫ですが、これだけで糖尿病を防げるとは考えないでください。

食後に動く

いつ動くと、食後の血糖が下がるか食事の前後で動く時刻を比べた試験から

動く時刻食後の血糖
食事の前下がらなかった
食後すぐ下がった。早いほど効果が大きい
毎食後に10分歩く1日1回30分歩くより、下がった。夕食後でとくに大きい
座りっぱなしを、短い歩きで区切る下がった
出典:Engeroff T, et al. Sports Med 2023/Reynolds AN, et al. Diabetologia 2016/Buffey AJ, et al. Sports Med 2022

食後の運動は、早く始めるほど効いていました8。日本糖尿病学会の指針も、食後の運動に食後の高い血糖を下げる効果を期待しています7。

食べ終わったら、片付けや買い物、ひと駅ぶん歩くくらいで構いません。ソファに直行する前の10分を考えてみてください。デスクワークの方は、座りっぱなしは、30分ごとに区切るも参考になります。

昼ごはんのあと、並木道を並んで歩く夫婦
昼ごはんのあと、並木道を並んで歩く夫婦

昼ごはんのあとの眠気

昼ごはんのあとの眠気について、わかっていること試験と総説から

わかっていること研究
午後の早い時間の眠気は、昼食を食べなくても来る。体内時計のリズムによる総説
量の多い昼食(922 kcal)は、軽い昼食(305 kcal)より、運転中の眠気を強めた寝不足の若い男性12人の試験
食事の中身(糖質が多いか、脂が多いか)で眠気が変わるかは、研究で結果が分かれる総説と、16人・18人の試験
血糖の上がり下がりが眠気の原因かどうか確かめられていない
出典:Monk TH. Clin Sports Med 2005/Reyner LA, et al. Physiol Behav 2012/Wells AS, et al. J Appl Physiol 1998/Wells AS, et al. Physiol Behav 1997

「血糖が急に上がって下がるから眠くなる」という説明をよく見ますが、はっきり確かめられてはいません。糖質の多い昼食で眠気が強まるという総説がある一方で9、脂の多い食事と糖質の多い食事で眠気が変わらなかった試験もあります10。

それでも、昼を軽めにするのは筋が通っています。量の多い昼食で眠気が強まった試験があるからです11。午後の眠気そのものは体内時計のリズムなので、前の晩の睡眠も見直してください119。

健康な人の血糖も、食後には上がる

健康な人の血糖も、食後には上がる体に貼る測定器で、1日じゅう測った研究から

わかったこと
1日の平均98〜104 mg/dL(60歳を超えるとやや高い)
140 mg/dLを超える時間1日に約30分
健康な日本人の定食の昼食山は140〜170 mg/dLほど

糖尿病かどうかの判定(ブドウ糖を飲む検査)では、2時間後に140 mg/dL未満なら正常です。

出典:Shah VN, et al. J Clin Endocrinol Metab 2019/Kurotobi Y, et al. Nutrients 2025/日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』1章

腕に測定器を貼り、食事のたびに数字を確かめる人も増えました。測定器を使った生活指導の試験は大半が糖尿病の人を対象にしたもので、効果も控えめでした12。健康な人が急いで使う理由は、今のところ見当たりません。

筋肉は、ブドウ糖の受け皿

食後に血液からブドウ糖を取り込む場所の、5分の4ほどは筋肉です13。米国の1万人あまりを調べた研究では、筋肉の多い人ほどインスリンがよく効き、糖尿病やその手前の人が少なくなっていました14。筋肉を保つことは、食べ方の工夫と並ぶ、長い目で見た血糖対策だと私は考えています。やり方は50歳からの筋トレ、週2回からにあります。

早食いと、甘い飲み物

日本の会社で働く男性2,050人を7年追った研究では、早食いの人の糖尿病の発症は、ゆっくり食べる人の約2倍でした。ただし体重の違いを差し引くと、差は消えました15。早食いそのものより、早食いで食べすぎて体重が増えることが響いていると考えられます。

甘い飲み物については、砂糖は、まず「飲み物」から減らすにまとめています。

こんなときは受診を

こんなときは、受診を食べ方の工夫だけで様子を見ないほうがよいとき

こんなときどうする
のどが渇く、水をよく飲む、尿が多い、体重が減ってきた糖尿病の典型的な症状。健診を待たずに受診
健診で空腹時血糖126 mg/dL以上、またはHbA1c 6.5以上(治療していない)すぐに受診
健診で空腹時血糖110〜125 mg/dL、またはHbA1c 6.0〜6.4精密検査と生活の見直しを
血糖を下げる薬やインスリンを使っている食べ方や食後の運動を変えるときは、主治医と(低血糖のおそれ)
昼に会議や運転中、寝てしまうほど眠い寝不足や睡眠時無呼吸のことがある。相談を
出典:厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」/日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』

健診の数字の読み方は、健診の「要再検査」を、引き出しにしまわないにあります。

まとめ

  • ごはんは、おかずのあとに。5⁠分⁠あ⁠け⁠れ⁠ば足りる。
  • ただし、長く続けた効果はまだ確かではない。
  • 食後は早めに、10分ほど動く。
  • 昼の眠気の主役は体内時計。昼ごはんは軽めに。
  • 血糖の長い目の対策は、筋肉をつけること。