飲む人ほど、病気が少ない。ただし「飲めば長生き」ではない
日本人を追いかけた大きな研究で、コーヒーを1日3〜4杯飲む人は、飲まない人より死亡が少なくなっていました。心臓・脳の病気や、呼吸器の病気による死亡も少ない傾向でした1。世界の研究をまとめても同じ向きで、2型糖尿病や肝臓の病気も少なくなっていました2。
ただし、1日2〜4杯より多く飲んでも、その傾向は強まりませんでした3。
そして、これらはすべて「飲んでいる人を調べた」研究です。コーヒーを飲む人は、もともと別の点でも健康的なのかもしれません。遺伝子を使って原因かどうかを確かめる研究では、コーヒーが病気を減らしているとは言えませんでした4。
ですから、このサイトの考えはこうです。いま飲んでいる人は、1日3〜4杯までなら心配しすぎなくてよい。飲まない人が、健康のために始める必要はない。気をつけたいのは、飲む時間と、一緒にとるものです。
量はカフェインで数える。目安は1日400 mg
日本には、カフェインの公式な上限はありません5。国の睡眠のガイドと、海外の機関は、健康な大人で1日400 mgまでを目安にしています657。
400 mgは、ドリップコーヒーのコーヒーカップで約4杯。大きめのマグカップなら2杯半ほどです68。研究で死亡が少なかった「3〜4杯」とも、ほぼ重なります。
大切なのは、コーヒー以外も合計することです。
1杯あたりのカフェイン1日の合計で400 mgまでが目安
| 飲み物(量) | カフェイン |
|---|---|
| ドリップコーヒー(コーヒーカップ150 mL) | 約90 mg |
| ドリップコーヒー(マグカップ250 mL) | 約150 mg |
| インスタントコーヒー(粉2 g) | 約80 mg |
| ペットボトルのコーヒー(500 mL) | 約270 mg |
| 缶コーヒー | 商品の表示を見る |
| 玉露(小さな湯のみ50 mL) | 約80 mg |
| 紅茶(150 mL) | 約45 mg |
| せん茶・ほうじ茶・ウーロン茶(150 mL) | 約30 mg |
| 緑茶のペットボトル(500 mL) | 約15〜120 mg |
| エナジードリンク(1本) | 50〜170 mg |
| デカフェ(約240 mL) | 2〜15 mg |
| 麦茶・そば茶 | 0 |
日本にカフェインの公式な上限はありません。1日400 mgは、国の睡眠ガイドと海外の機関の目安です。
- お茶にもカフェインがあります。玉露は、同じ量ならコーヒーより多く含みます8。
- ペットボトルの緑茶は、銘柄によって大きく違います9。
- エナジードリンクは、1本で50〜170 mgです5。
- 缶やペットボトルのコーヒーは、カフェインの表示がないことも多く、コーヒーを淹れたものより多い銘柄もあります9。
たとえば、ドリップ2杯に、緑茶のペットボトル1本、午後のエナジードリンク1本。コーヒーは2杯でも、合計は400 mgを超えることがあります。
午後の1杯は、寝る時間から逆算する
カフェインが体の中で半分になるまでの時間は、日本人で3〜7時間と、人によって大きく違います6。年をとると、さらにゆっくりになります6。
カフェインは、夜まで体に残る半分になるまで5時間の人の例
| 時刻 | 体に残るカフェイン |
|---|---|
| 朝9時に400 mgをとる | 400 mg |
| 14時 | 200 mg |
| 19時 | 100 mg |
| 19時に100 mgをとると、24時 | 50 mg |
半分になるまでの時間は、人によって3〜7時間。寝る8〜9時間前を過ぎたら、デカフェか麦茶に。
研究をまとめると、コーヒー1杯分のカフェインでも、寝る8〜9時間前より後に飲むと、夜の眠りが短く浅くなっていました10。しかも、本人はそれに気づきにくいことがわかっています11。
23時に寝る人なら、14〜15時以降は、デカフェか麦茶に切り替えましょう。麦茶、そば茶、黒豆茶は、カフェインを含みません6。眠りについては、50歳からの睡眠もご覧ください。
血圧:飲んだ直後は上がる。習慣では高血圧は増えない
高血圧の人がコーヒー2〜3杯分のカフェインをとると、飲んで1時間ほどから血圧が上がり、3時間以上続きました12。一方、何週間も続けて飲んだ試験や、長い追跡では、高血圧は増えませんでした13。学会のガイドラインにも、コーヒーを制限する文言はありません14。
ただし、2つ気をつけることがあります。
- 家庭の血圧は、コーヒーを飲む前に測る。学会の測り方で、測る前のカフェインは避けることになっています14。測り方は血圧は、家で1週間測ってから考えるにあります。
- 健診で上が160以上、下が100以上と言われた人は、コーヒーの量を考える前に、まず受診を。日本の研究で、この血圧の人では、1日2杯以上飲む人で心臓や血管の病気による死亡が多くなっていました15。治療で落ち着くまでは、1日1杯程度にしておきましょう。
動悸がする人、不整脈と言われた人
コーヒーを飲んだ日は、心臓の「期外収縮」という脈の乱れが増えることが、試験で確かめられています16。飲んだあとに動悸が気になる人は、量を減らしましょう。
一方、心房細動という不整脈は、ふだん飲む量では増えないという研究が多くあります17。心房細動の治療を受けた人の試験では、コーヒーを続けた人のほうが、やめた人より再発が少なくなっていました18。不整脈と言われている人は、自分でやめる・続けるを決めず、主治医と相談してください。
骨:ふつうの量なら心配しすぎなくてよい
ふつうに飲む量で、骨折が増えるという、はっきりした証拠はありません19。ただし、たくさん飲むのは控えめに。骨粗鬆症と言われた女性は、特にたくさんは飲まないようにしましょう19。骨のための食事は骨のための食事にあります。
足すもので、中身が変わる
- 加糖の缶コーヒー:1本に砂糖が約15 g入っています8。毎日飲むなら、無糖に替えるだけで砂糖はゼロです。甘い飲み物については砂糖と甘い飲み物に。
- 淹れ方:フレンチプレスや煮出しのように、紙のフィルターを通さない淹れ方では、LDLコレステロールが上がることがあります20。日本でよく使う紙のフィルターなら、心配は少なくなります。
- デカフェ:カフェインをほとんど取り除いたもので、ゼロではありませんが、1杯に数mgほどです97。糖尿病などとの関連は、ふつうのコーヒーとほぼ同じ向きでした21。午後や夜の選択肢として十分です。
- 熱さ:とても熱い飲み物は、食道の病気の原因になりうるとされています。淹れたては、少し冷ましてから飲みましょう22。
コーヒーで、わかっていること「体にいい」の多くは、飲んでいる人を調べた研究
| テーマ | わかっていること | まだわからないこと |
|---|---|---|
| 死亡・心臓や脳の病気 | 飲む人ほど少ない。2〜4杯で頭打ち。日本も同じ向き | 飲むこと自体が原因か |
| 2型糖尿病・肝臓 | 飲む人ほど少ない。デカフェでも同じ向き | 飲むこと自体が原因か |
| 血圧 | 飲んで1〜3時間は上がる。習慣では高血圧は増えない | 重い高血圧の人への影響 |
| 眠り | 寝る6〜9時間前の1杯でも、短く浅くなる | — |
| 不整脈 | 心房細動は増えない。期外収縮は増える | 心房細動を防ぐか |
| 骨 | ふつうの量で骨折は増えない | 女性がたくさん飲んだとき |
| コレステロール | 紙のフィルターを通さない淹れ方で上がる | — |
だから、健康のためにコーヒーを始めることは勧めません。
よくある疑問
コーヒーは水分補給にならない? ふだん飲む量なら、体の水分が減ることはありません。1日4杯を続けても、水を飲んだときと差がありませんでした23。ただ、のどが渇いたときや暑い日の一杯は、水か麦茶にしましょう。
お茶なら、カフェインは少ない? そうとは限りません。玉露はコーヒーより多く、ペットボトルの緑茶も銘柄で大きく違います89。
やめると、どうなる? ふだん飲んでいる人が急にやめると、頭痛が出ることがあります24。減らすなら、少しずつにしましょう。
こんなときは、量と時間を見直す
量と時間を見直したい人当てはまらなければ、1日3〜4杯まで
| こんなとき | こうする |
|---|---|
| 夜眠れない・夜中に目が覚める | 午後はデカフェか麦茶に |
| 健診で血圧が160/100以上 | まず受診。家庭血圧は飲む前に測る |
| 飲むと動悸がする・不整脈と言われた | 自分で決めず、主治医と |
| かぜ薬・頭痛薬・眠気防止薬を飲んでいる | コーヒーやお茶と一緒に飲まない |
| 加糖の缶コーヒーが毎日 | 無糖に替える |
| 骨粗鬆症と言われた女性 | たくさんは飲まない |
- かぜ薬・頭痛薬・眠気防止薬には、カフェインが入っていることがあります。一緒にコーヒーやお茶、エナジードリンクを飲まないようにしましょう525。
- エナジードリンクを何本も飲んだり、薬と重ねたりして、震え・吐き気・動悸・強い不安が出たときは、カフェインのとりすぎを疑ってください2526。
- 胸の痛み、強い動悸、脈の乱れが続く、意識が遠のく、というときは、すぐに受診してください。
まとめ
- 飲んでいる人は、1日3〜4杯までなら心配しすぎなくてよい。健康のために始める必要はない。
- カフェインは、お茶・ペットボトル・エナジードリンクも合わせて、1日400 mgまでを目安に。
- 寝る8〜9時間前を過ぎたら、デカフェか麦茶に。
- 家庭の血圧は、飲む前に測る。上が160以上なら、まず受診。
- 加糖の缶コーヒーは無糖に。淹れたては少し冷まして。