痩せ方は、ふつうの食事制限と同じくらい
きちんとくじで分けた試験では、次のような結果が出ています。
- 食べる量を同じにそろえると、8時間に絞っても絞らなくても、1年後の体重の減り方は変わりませんでした1。
- 12時から20時だけ食べる試験では、3食の人と体重の差がはっきりしませんでした2。
- 時間だけを絞る方法は、自然と食べる量が減るぶん痩せます。その減り方は、毎日食べる量を控える方法と同じくらいでした34。
同じ量を食べるなら、時間を絞っても痩せ方は変わらない断食する人としない人を、くじで分けた試験
| 試験 | 比べたもの | 結果 |
|---|---|---|
| 米国 116人・12週 | 12〜20時だけ食べる/3食 | 体重は差なし。手足の筋肉が減った |
| 中国 139人・1年 | 同じ量で8〜16時/時間自由 | 体重は差なし |
| 米国 90人・1年 | 正午〜20時/食べる量を控える | 体重は差なし |
| 99試験のまとめ | 断食/毎日の食事制限 | 同じくらい |
| 日本 57人・12週 | 週1日断食/なし | 体重は減った。脂肪は減らず、筋肉が減った |
つまり断食は、食べる量を減らすための、やり方のひとつです。合う人には続けやすい方法ですが、特別な痩せ方ではありません。
50代の落とし穴1:筋肉も一緒に減る
時間だけを絞った試験では、手足の筋肉が、ふつうに食べた人より減っていました2。多くの研究をまとめた解析でも、断食は筋肉などの量が減ることと結びついており5、45歳以上でも同じでした6。
日本の職場などで行われた試験では、体重は減ったものの、脂肪は減らず、筋肉が減っていました7。
50代は、何もしなくても筋肉が落ち始める年代です。痩せたことと、体がよくなったことは別です。
50代の落とし穴2:朝を抜くと、たんぱく質が足りなくなる
筋肉を保つには、たんぱく質が欠かせません。国の推奨量は、50〜64歳で男性65 g、女性50 gです8。このサイトでは、体重1 kgあたり1.0〜1.2 g(体重70 kgなら70〜84 g)を目安にお勧めしています。
日本人のたんぱく質は、もともと夕食に多く、朝食に少ない傾向があります9。そこへ朝を抜くと、1日の合計がぐっと減ります。
朝を抜くと、たんぱく質は目標に届かない体重70 kgの人の例(目安は1日70〜84 g)
| 昼まで食べない | 朝を戻す | |
|---|---|---|
| 朝 | コーヒーだけ 0 g | ごはん・みそ汁・納豆・卵 約21 g |
| 昼 | かけうどん 約5 g | ごはん・焼き鮭 約22 g |
| 夕 | ごはん・鶏むね・冷奴 約29 g | 同じ+牛乳1杯 約36 g |
| 1日 | 約35 g | 約79 g |
国の推奨量は、50〜64歳の男性で1日65 g、女性で50 g。
昼まで食べず、昼がかけうどんだと、1日で35 g前後にしかなりません。朝を戻して納豆と卵を足すと、80 g近くになります。
どうしても2食にするなら、1食で35〜40 gのたんぱく質が必要です。昼に焼き鮭・納豆・卵、夕に鶏むね肉120 g・豆腐・牛乳、くらいの量です。
筋トレと組み合わせれば、筋肉は守られるのか
筋トレをしながら食べる時間を絞った試験では、筋肉はふつうに食べた人と同じくらい保たれていました1011。ただし、対象は鍛えている若い人で、たんぱく質も十分にとっていました。50代で確かめた試験は、まだ見当たりません。
そのため、このサイトの考えは次のとおりです。断食をするなら、筋トレ週2〜3日と、たんぱく質の合計を落とさないことをセットで。どちらかができないなら、断食はしない。
筋トレは50歳からの筋トレ、週2回から、たんぱく質はたんぱく質、どれだけ食べればいい?にまとめています。
試すなら、朝ではなく「夜」を空ける
同じ時間制限でも、早い時間に食べ終える形のほうが、体重やインスリンの効きの改善がよかったという解析があります12。夕食を15時までに終える試験では、体重が変わらなくても、インスリンの効きや血圧がよくなりました13。
一方、朝食を食べない習慣の人で、脳卒中が多かったという日本の大規模な研究もあります14。
働く50代に勧めたいのは、朝を抜くことではなく、夜を長く空けることです。
空けるなら、朝ではなく夜を食べる時間と、空ける時間
| よくある16時間断食 | このサイトの提案 | |
|---|---|---|
| 朝 | 食べない | 7時ごろ、たんぱく質の入った朝食 |
| 昼 | 12時から食べ始める | 12時ごろ |
| 夜 | 20時までに食べ終える | 19時台に食べ終える |
| 空ける時間 | 20時〜翌12時 (16時間) | 20時〜翌7時 (約12時間) |
夜食や、寝る前のお酒のつまみも「食べる」に入ります。
- 夕食を19時台に終える。
- 夜食や、寝る前のお酒のつまみをやめる。
- 翌朝7時ごろに、たんぱく質の入った朝食をとる。
これで、夜から朝までが12時間ほど空きます。帰りが遅い日は、夕方に軽く食べておき、帰宅後は軽くすませるのも一つの方法です。
「16時間断食で心臓の病気が増える」というニュース
2024年、「8時間だけ食べる人は、心臓の病気で亡くなる人が多い」というニュースが世界中で流れました。元は、論文になる前の学会発表でした15。
論文になったあとも、これは食べ方と病気の結びつきを見た研究で、著者自身が「ほかの要因の影響かもしれない」と書いています15。「断食で心臓の病気が増える」も「断食で長生きする」も、人の試験では確かめられていません5。
始める前に主治医に相談を
次の方は、自分の判断で始めないでください。
- 血糖を下げる薬(とくに注射や、低血糖を起こしやすい飲み薬)を使っている方。食事を抜くと、低血糖を起こすことがあります16。
- 食べ吐きや極端な食事制限をした経験がある方。
- 痩せている方、筋肉が少ないと言われた方、体重が思いがけず減っている方。
- 妊娠中・授乳中の方。