痩せ方は、ふつうの食事制限と同じくらい

きちんとくじで分けた試験では、次のような結果が出ています。

  • 食べる量を同じにそろえると、8時間に絞っても絞らなくても、1年後の体重の減り方は変わりませんでした1。
  • 12時から20時だけ食べる試験では、3食の人と体重の差がはっきりしませんでした2。
  • 時間だけを絞る方⁠法は、自然と食べる量が減るぶん痩せます。その減り方は、毎日食べる量を控える方⁠法と同じくらいでした34。

同じ量を食べるなら、時間を絞っても痩せ方は変わらない断食する人としない人を、くじで分けた試験

試験比べたもの結果
米国 116人・12週12〜20時だけ食べる/3食体重は差なし。手足の筋肉が減った
中国 139人・1年同じ量で8〜16時/時⁠間⁠自⁠由体重は差なし
米国 90人・1年正午〜20時/食べる量を控える体重は差なし
99試験のまとめ断食/毎日の食事制限同じくらい
日本 57人・12週週1日断食/なし体重は減った。脂肪は減らず、筋肉が減った
出典:Lowe DA 2020/Liu D 2022/Lin S 2023/Semnani-Azad Z 2025/Noda T 2026

つまり断食は、食べる量を減らすための、やり方のひとつです。合う人には続けやすい方⁠法ですが、特別な痩せ方ではありません。

50代の落とし穴1:筋肉も一緒に減る

時間だけを絞った試験では、手足の筋肉が、ふつうに食べた人より減っていました2。多くの研究をまとめた解析でも、断食は筋肉などの量が減ることと結びついており5、45歳以上でも同じでした6。

日本の職場などで行われた試験では、体重は減ったものの、脂肪は減らず、筋肉が減っていました7。

50代は、何もしなくても筋肉が落ち始める年代です。痩せたことと、体がよくなったことは別です。

50代の落とし穴2:朝を抜くと、たんぱく質が足りなくなる

筋肉を保つには、たんぱく質が欠かせません。国の推奨量は、50〜64歳で男性65 g、女性50 gです8。このサイトでは、体重1 kgあたり1.0〜1.2 g(体重70 kgなら70〜84 g)を目安にお勧めしています。

日本人のたんぱく質は、もともと夕食に多く、朝食に少ない傾向があります9。そこへ朝を抜くと、1日の合計がぐっと減ります。

朝を抜くと、たんぱく質は目標に届かない体重70 kgの人の例(目安は1日70〜84 g)

昼まで食べない朝を戻す
朝コーヒーだけ
0 g
ごはん・みそ汁・納豆・卵
約21 g
昼かけうどん
約5 g
ごはん・焼き鮭
約22 g
夕ごはん・鶏むね・冷奴
約29 g
同じ+牛乳1杯
約36 g
1日約35 g約79 g

国の推奨量は、50〜64歳の男性で1日65 g、女性で50 g。

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」から計算した例/厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

昼まで食べず、昼がかけうどんだと、1日で35 g前後にしかなりません。朝を戻して納豆と卵を足すと、80 g近くになります。

どうしても2食にするなら、1食で35〜40 gのたんぱく質が必要です。昼に焼き鮭・納豆・卵、夕に鶏むね肉120 g・豆腐・牛乳、くらいの量です。

筋トレと組み合わせれば、筋肉は守られるのか

筋トレをしながら食べる時間を絞った試験では、筋肉はふつうに食べた人と同じくらい保たれていました1011。ただし、対象は鍛えている若い人で、たんぱく質も十分にとっていました。50代で確かめた試験は、まだ見当たりません。

そのため、このサイトの考えは次のとおりです。断食をするなら、筋トレ週2〜3日と、たんぱく質の合計を落とさないことをセットで。どちらかができないなら、断食はしない。

筋トレは50歳からの筋トレ、週2回から、たんぱく質はたんぱく質、どれだけ食べればいい?にまとめています。

試すなら、朝ではなく「夜」を空ける

同じ時間制限でも、早い時間に食べ終える形のほうが、体重やインスリンの効きの改善がよかったという解析があります12。夕食を15時までに終える試験では、体重が変わらなくても、インスリンの効きや血圧がよくなりました13。

一方、朝食を食べない習慣の人で、脳卒中が多かったという日本の大規模な研究もあります14。

働く50代に勧めたいのは、朝を抜くことではなく、夜を長く空けることです。

空けるなら、朝ではなく夜を食べる時間と、空ける時間

よくある16時間断食このサイトの提案
朝食べない7時ごろ、たんぱく質の入った朝食
昼12時から食べ始める12時ごろ
夜20時までに食べ終える19時台に食べ終える
空ける時間20時〜翌12時
(16時間)
20時〜翌7時
(約12時間)

夜食や、寝る前のお酒のつまみも「食べる」に入ります。

出典:Lowe DA 2020(12〜20時)/Chen YE 2026(早い時間の時間制限)
  • 夕食を19時台に終える。
  • 夜食や、寝る前のお酒のつまみをやめる。
  • 翌朝7時ごろに、たんぱく質の入った朝食をとる。

これで、夜から朝までが12時間ほど空きます。帰りが遅い日は、夕方に軽く食べておき、帰宅後は軽くすませるのも一つの方⁠法です。

「16時間断食で心臓の病気が増える」というニュース

2024年、「8時間だけ食べる人は、心臓の病気で亡くなる人が多い」というニュースが世界中で流れました。元は、論文になる前の学会発表でした15。

論文になったあとも、これは食べ方と病気の結びつきを見た研究で、著者自身が「ほかの要因の影響かもしれない」と書いています15。「断食で心臓の病気が増える」も「断食で長生きする」も、人の試験では確かめられていません5。

始める前に主治医に相談を

次の方は、自分の判断で始めないでください。

  • 血糖を下げる薬(とくに注射や、低血糖を起こしやすい飲み薬)を使っている方。食事を抜くと、低血糖を起こすことがあります16。
  • 食べ吐きや極端な食事制限をした経験がある方。
  • 痩せている方、筋肉が少ないと言われた方、体重が思いがけず減っている方。
  • 妊娠中・授乳中の方。

始めたら、次の健診でLDLコレステロールも見ておきましょう。断食で上がる人がいることが報告されています174。