お酒は「純アルコール何グラム」で数える

同じ「1本」でも、お酒の種類で中身はずいぶん違います。国のガイドラインは、お酒を純アルコールのグラムで数えることを勧めています2。

純アルコール(g)= 飲んだ量(mL)× 度数 ÷ 100 × 0.8

たとえば、ビールのロング缶(500 mL・5度)なら、500 × 5 ÷ 100 × 0.8 = 20 gです。

「同じ1本」でも、純アルコールはこんなに違う純アルコール(g)=量(mL)×度数÷100×0.8

お酒量度数純アルコール
ビール(缶)350 mL5度14 g
ビール(中瓶・ロング缶)500 mL5度20 g
缶チューハイ・ハイボール350 mL7度19.6 g
缶チューハイ(ストロング系)350 mL9度25.2 g
缶チューハイ(ストロング系)500 mL9度36 g
日本酒1合 180 mL15度21.6 g
ワイングラス1杯 120 mL12度11.5 g
焼酎1杯分 60 mL25度12 g
ウイスキーダブル 60 mL43度20.6 g

ワイン・焼酎・ウイスキーは、グラスや注ぐ量で変わります。

出典:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」2024年の式で計算
  • 350 mLの缶ビールは14 g、ロング缶は20 g。
  • 9度の缶チューハイ(ストロング系)は、350 mLで25 g、500 mLで36 g。ロング缶1本で、ビールのロング缶2本分に近い量です。
  • ワインや焼酎、ウイスキーは、グラスや注ぐ量で大きく変わります。

国の目安は「男性40 g・女性20 g」。ただし安全な量ではない

国は、1日の平均で男性40 g以上、女性20 g以上を「生活習慣病のリスクを高める量」としています21。ビールなら、男性はロング缶2本、女性は1本です。

大切なのは、国がこの量を「これ以下なら安全、という量ではない」とはっきり書いていることです2。病気ごとに見ると、もっと少ない量からリスクが上がるものがあります2。

  • 高血圧、男性の食道がん:少しでも飲めば、リスクが上がる方⁠向。
  • 大腸がん:週150 g(1日20 g程度)から。
  • 男性の脳梗塞:週300 g(1日40 g程度)から。女性は週75 gから。

病気によっては、少しの量からリスクが上がるこれ以上飲むと発症のリスクが上がる、1週間の純アルコール量(日本人の研究から)

病気男性女性
高血圧少しでも少しでも
食道がん少しでもデータなし
脳卒中(出血性)週150 g少しでも
大腸がん週150 g週150 g
脳梗塞週300 g週75 g
肝がん週450 g週150 g
乳がん—週100 g

週150 gは1日20 g程度。国は、男性40 g・女性20 gも「許容量ではない」としています。

出典:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」2024年 表1(抜粋)

このサイトでは、男性も1日20 g程度(ビールのロング缶1本)まで。少ないほどよいを目安にお勧めします。

毎晩の2本は、1週間で積み上がる

病気ごとの目安は、1週間の合計です。毎日の少しずつが、週ではまとまった量になります。

毎晩の2本は、1週間で積み上がる病気ごとの目安は1週間の合計(大腸がんは週150 gから)

飲み方1週間1日平均
毎晩、缶ビール(350 mL)を2本196 g28 g
毎晩、ロング缶(500 mL)を2本280 g40 g
平日はロング缶1本、金曜に飲み会、土曜にストロング系ロング缶1本約207 g約30 g
週2日は飲まず、5日はロング缶1本100 g約14 g

飲み会の日(ビール2杯+日本酒2合=約71 g)は、1回60 g以上の「一⁠時⁠多⁠量⁠飲⁠酒」にあたります。

出典:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」2024年の式と表1から計算した例
  • 毎晩、缶ビール(350 mL)を2本:週196 g。大腸がんの目安の週150 gを超えます。
  • 毎晩、ロング缶を2本:週280 g。男性の「リスクを高める量」に届きます。
  • 週2日は飲まず、5日はロング缶1本:週100 g。

「少しなら体にいい」は、もう前提にしない

「酒は百薬の長」と言われてきました。けれども、研究の組み方の偏りを補正すると、少し飲む人のほうが長生きという結果は、はっきりしなくなりました3。遺伝子の違いを使った研究でも、少量の飲酒が脳卒中を防ぐように見えたのは、見かけだった可能性が高いとされています4。

一方で、日本人のデータでは、少し飲む人の死亡が少ない形も出ています5。少し飲む人が不健康、というわけではありません。

まとめると、体のためにお酒を飲む理由はありません。飲むなら、少ないほどよいです。飲まない人が、健康のために飲み始める必要はありません2。

顔が赤くなる人は、特に量を増やさない

少しのお酒で顔が赤くなる体質は、日本人に多く見られます2。この体質の人は、少ない量でも、食道がんや口・のどのがんのリスクが大きく上がることがわかっています6。

国の健診では、次の2問で体質を確かめます7。

  • いま、ビールをコップ1杯ほど飲んだだけで、すぐに顔が赤くなりますか。
  • 飲み始めたころの1〜2年は、すぐに顔が赤くなりましたか。

どちらかが「はい」なら、この体質の可能性が高いです76。仕事の付き合いで「飲めるようになった」人も、体質は変わっていません。赤くならなくなっても、リスクは高いままです2。量を増やさないようにしましょう。

飲み会では、1回60 gを超えない

1回に60 g以上飲むことを、国は「一⁠時⁠多⁠量⁠飲⁠酒」と呼び、避けるべき飲み方としています2。ビールの中瓶3本、日本酒なら3合弱で届きます。

飲み会で、ビールを2杯と日本酒を2合飲むと、約71 gです。二次会に行けば、もっと増えます。

  • 最初に、今日は何をどれだけ飲むか決めておく。
  • 食べながら飲む。空腹で飲み始めない。
  • 1杯ごとに、水や炭酸水をはさむ。
  • 人に勧めない。勧められても、断ってよい。

寝酒は、眠りを浅くする

お酒を飲むと、寝つきはよくなります。けれども、夜の後半の眠りが浅くなり、飲む量が増えるほど、夜中に目が覚めやすくなります89。国の睡眠のガイドも「晩酌は控えめにし、寝酒はしない」と勧めています8。

毎晩、寝酒を続けている人が急にやめると、かえって眠れなくなることがあります。週ごとに少しずつ減らすか、医療機関に相談しましょう8。眠りについては、50歳からの睡眠もご覧ください。

50代のうちに、飲み方を自分で決める

年をとると、同じ量でも酔いやすくなり、転倒や骨折、筋肉が減ることにもつながります2。中年期に多く飲むことは、認知症の危険因子のひとつにも挙げられています10。

50代のうちに「量を決めて飲む」習慣をつくっておくと、60代、70代の体を守ることにつながります。

  • 量を決める:男性も1日20 g程度まで。
  • 週に2日は飲まない日を:多く飲む人では、毎日飲む人より、間をあける人のほうが死亡が少なかったという日本の研究があります11。ただし、休みの前後にまとめて飲めば意味がありません。
  • 記録する:飲んだ量をg で手帳やスマホに書くだけでも、減らす助けになります12。
  • 度数の低いものに:9度の缶を5度や、アルコールの入っていない飲み物に替える2。

健診の「γ-GTP」を見ておく

健診の結果で、肝臓の数値のγ-GTP(γ-GT)を見てみましょう。51以上は生活の見直し、101以上は受診が目安です7。

ただし、γ-GTPが基準の範囲でも、飲んでいる量が多ければ、血圧やがんのリスクは上がります。数値だけでなく、飲んでいる量をgで書き出すところから始めましょう。

こんなときは相談を

  • 減らそうとしても減らない。飲み始めると止まらない。
  • 朝から飲む、迎え酒をする。飲んで記憶をなくすことが続く。
  • 飲まないときに、手のふるえや冷や汗が出る(急にやめず、医療機関へ)。
  • 健診でγ-GTPが101以上、または肝臓の数値で受診を勧められた。

「やめなさい」と言われるだけ、と思わなくて大丈夫です。国の保健指導や医療でも、量を減らすことを目標にできます1213。かかりつけ医、健診の保健指導、地域の精神保健福祉センターで相談できます。