家で測る血圧が、いちばん本当の値に近い
学会のガイドラインは、診察室や健診で測る血圧より、家で測る血圧を診断で優先するとしています1。測り方も決まっています。
家での血圧の測り方朝と晩、1週間
| 朝 | 晩 | |
|---|---|---|
| いつ | 起きてから1時間以内 | 寝る前 |
| その前に | トイレを済ませる 朝食と薬の前 | 飲酒・入浴の直後は避ける |
| 座り方 | 背もたれのある椅子 脚を組まない | 同じ |
| 待つ | 座って1〜2分 話さない | 同じ |
| 回数 | 2回測って平均 | 同じ |
朝と晩、それぞれ7日(少なくとも5日)の平均で判断します。値はすべて書き残し、自分で薬を変えないでください。
- 血圧計は、上腕に巻くタイプ。利き手でない腕で測ります。
- 朝は、起きてから1時間以内。トイレを済ませ、朝食と薬の前に。
- 晩は、寝る前に。
- 背もたれのある椅子に、脚を組まずに座り、1〜2分休んでから。測る前と測っている間は話さない。
- 1回に2回測って、その平均を書き残します。
- 朝と晩、それぞれ7日(少なくとも5日)の平均で判断します12。
晩酌のあとや風呂上がりは、低く出やすくなります。晩の血圧は、寝る前に測りましょう1。
学会のガイドラインには、測ることで不安になるなら、無理に測らなくてよいとも書かれています。1回ごとの数字に一喜一憂せず、1週間の平均を見ることが大切です1。
線は、家で135/85、診察室で140/90
高血圧と判断される線は、家庭の血圧で135/85 mmHg以上、診察室や健診で140/90 mmHg以上です。2つが食い違うときは、家庭の血圧を優先します1。
2025年の新しいガイドラインで「130が新しい基準になった」と聞いた方もいるかもしれません。130/80 mmHg(家庭では125/75 mmHg)は、治療を始めた人の目標です。高血圧と判断する線は変わっていません1。
健診の結果票の読み方と、受診を急ぐ線は、健診の「要再検査」を、引き出しにしまわないにまとめています。
健診では正常でも、家では高い人がいる
家で測ると、4つのタイプに分かれます。
家で測ると、4つに分かれる健診・診察室の血圧と、家の血圧
| 家で 135/85 未満 | 家で 135/85 以上 | |
|---|---|---|
| 健診で 140/90 未満 | 正常 今のところ問題なし | 仮面高血圧 受診を。危険はいつも高い人と同じくらい |
| 健診で 140/90 以上 | 白衣高血圧 測り続ける | 高血圧 受診を |
朝だけ高い、仕事中だけ高い、夜だけ高いタイプもあります。
気をつけたいのは、健診や診察室では正常なのに、家や職場で高い仮面高血圧です。脳卒中や心臓の病気の起こしやすさは、いつも高い人と同じくらいとされています123。仕事中にだけ高くなる「職場高血圧」というタイプもあります1。
反対に、診察室でだけ高く、家では正常な白衣高血圧の人は、すぐに薬が要るとは限りません。ただ、のちに高血圧になりやすいので、測り続けましょう12。
「高血圧は治療不要」は、日本人のデータと合わない
日本人の大きな研究では、血圧が高い区分になるほど、心臓や血管の病気で亡くなる人が段々に増えていました。その結びつきは、40〜64歳のほうが、65歳以上より強く出ていました45。50代は、血圧を気にする意味がいちばん大きい年代の一つです。
薬の試験をまとめた研究では、上の血圧を下げた分に応じて、脳卒中・心筋梗塞・心不全などの大きな病気が減りました。84歳までは年齢によらず、もとの血圧が正常に近い人でも、減り方はほぼ同じでした6。
「基準は製薬会社が決めている」という話もあります。学会は、委員の利益相反の確かめ方や、市民・患者の代表も加わる投票のしかたを公開しています7。
ただし、正しく議論されていることもある
「治療不要」説のすべてが間違いというわけではありません。次のことは、専門家の間でも正当に議論されています。
- 下げすぎ:強く下げると、立ちくらみ・失神・腎臓の数値の悪化が増えることがあります8。学会も、やみくもに下げるのではない、としています1。
- とても高齢で、体が弱った人:85歳以上では、薬の効果がはっきりしませんでした6。介助が必要な人や終末期には、目標をゆるめたり、薬を減らしたりします1。
- 白衣高血圧:診察室の値だけで薬を始めるのは慎重に、が学会の立場です1。
- 薬をやめられる人もいる:2年以上たっても下がったままの人は、約4分の1でした9。薬が1種類で少量、臓器の障害がなく、生活が十分に改善した人です1。
議論されているのは「どこまで、誰に、どの速さで下げるか」であって、「治療が要らないかどうか」ではありません。
薬は、自分でやめない
学会は、家庭の血圧を見て、自分で薬をやめたり減らしたりしてはいけないとしています。やめると、4人に3人で血圧がまた上がります。急にやめると、反動で大きく上がることもあります1。やめたい、減らしたいと思ったら、家庭の血圧の記録を持って、主治医に相談しましょう。
腰痛などで痛み止めを続けている人、甘草を含む漢方薬を飲んでいる人は、血圧が上がることがあります1。主治医に伝えてください。
薬以外でも、血圧は下がる
効くのは、いくつかの組み合わせです1。
薬以外でも、血圧は下がる研究でわかっている、上の血圧の下がり方
| やること | 下がり方(上の血圧) |
|---|---|
| 減塩(食塩をおよそ7〜8g減らす) | 約4 mmHg |
| 体重を減らす | 1kgあたり約1 mmHg |
| 有酸素運動(高血圧の人) | 約8 mmHg |
| 筋トレ(高血圧の人) | 約6 mmHg |
| 壁座り・握る運動(高血圧の人) | 約6 mmHg |
研究ごとに対象が違うため、単純に足し算はできません。お酒の量を減らすことも効きます。
- 減塩:高血圧の人の目標は、食塩1日6g未満です110。国が50〜64歳に定める目標量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満10。ところが、50代が実際にとっている量は、男性10.4g、女性8.9gです11。
- 体重:体重が1kg減ると、上の血圧はおよそ1 mmHg下がります12。
- 運動:息が少しはずむくらいの有酸素運動を、毎日30分以上。軽い筋トレも勧められています1。
- お酒:飲む量を減らすことも効きます。量の目安はお酒との付き合い方に。
- たばこ:加熱式たばこも含めて、やめる1。
いびきが大きく、日中に眠い人は、睡眠時無呼吸が血圧を上げていることがあります。睡眠時無呼吸も読んでみてください1。
壁座りや、握る運動も
有酸素運動、筋トレ、壁に背中をつけて座る運動、握る運動(等尺性運動)。どれでも、同じくらい血圧が下がることがわかっています13。続けられるものを選びましょう。
等尺性運動は、息を止めて力まないことが大切です。息を止めて力むと、血圧が大きく上がります114。膝が痛い人は、壁座りではなく、タオルを握る運動や、胸の前で手のひらを押し合う運動にしましょう。
運動の前に血圧を測って、160/100 mmHg以上の日は散歩程度に、180/110 mmHg以上の日は運動を休みます15。
受診の目安
- 家で5日以上測った平均が135/85 mmHg以上、または健診で140/90 mmHg以上 → 受診しましょう。家庭の血圧の記録を持っていきます1。
- 決められた測り方なのに、日によって値が大きくばらつく。血圧計が脈の乱れを知らせる → 受診しましょう1。
- 上が160以上、または下が100以上 → すぐに受診を16。
- 血圧がとても高い(上が180以上が目安)うえに、強い頭痛、目の見えにくさ、手足のまひやしびれ、ろれつが回らない、胸や背中の痛み、息苦しさ、吐き気がある → すぐに119番。
- 症状はなく、血圧だけがとても高い → 救急ではなく、その日か翌日に受診しましょう。学会は、症状がないときに急いで下げても、よい結果につながるという証拠はないとしています1。
まとめ
- 血圧は、健診の1回より、家で測った1週間で考える。
- 健診で正常でも、家で高い人がいる。
- 「治療不要」ではなく、「どこまで、誰に下げるか」が議論されている。
- 薬は自分でやめず、記録を持って主治医と相談する。
- 減塩・体重・運動・お酒・たばこの組み合わせで、薬なしでも下がる。