共通する答えは、首を曲げずに上半身ごと傾けることと、寝る向きを選ぶことです。それぞれ、研究でわかっていることと、日本の学会の考え方をまとめます。

いびき・睡眠時無呼吸:首を曲げない、横向きで

いびきがひどいと、枕を高くしたくなります。けれど、枕を重ねてあごが胸に近づくと、のどの空気の通り道はかえってつぶれやすくなります12。

一方、枕ではなく上半身ごと少し高くすると、無呼吸の回数が減ったという研究があります3。ただし、その効果は治療機器(CPAP)には及びません4。

仰向けで無呼吸がひどくなる人は少なくありません。横向きで寝ると無呼吸が減ることがあり、日本呼吸器学会のガイドラインも、横向きで減ることを確かめたうえで、寝る姿勢を指導するよう勧めています。ただし位置づけは、軽い人やCPAPが使いにくい人への補助的な方⁠法です56。

並べた布団で、抱き枕を抱えて横向きに眠る夫と、ぐっすり眠る妻
並べた布団で、抱き枕を抱えて横向きに眠る夫と、ぐっすり眠る妻

寝る姿勢の工夫は、検査の代わりにはなりません。家族に「息が止まっている」と言われたら、まず検査を受けてください。くわしくは睡眠時無呼吸のページにあります。

夜の胸やけ:枕を重ねず、ベッドの頭側を上げる

横になると胸やけがする、すっぱいものが上がってきて目が覚める。胃の中身が食道へ逆流しているサインです。

枕を2つ、3つと重ねても、首と腰が曲がるだけで、食道は傾きません。必要なのは、ベッドの頭側ごと、あるいは上半身ごと傾けることです。ベッドの頭側の脚の下に台を入れて高くすると、胸やけが楽になる人が多かったという試験があります7。上半身を支えるくさび形のクッションを、夜の胃薬と比べた試験もあり、効果は劣らないという結果でした8。背もたれが上がるベッドなら、腰から上をゆるやかに起こす方⁠法もあります。

背もたれをゆるやかに上げたベッドで、平らな枕ひとつで眠る男性
背もたれをゆるやかに上げたベッドで、平らな枕ひとつで眠る男性

日本消化器病学会のガイドラインも、夜に症状がある人には、就寝時に頭の側を高くすることと、遅い夕食を避けることが有効だとしています9。寝る前の3時間以内に夕食をとるのは、逆流が起きやすくなる危険な習慣の一つです。

寝る向きは、左を下にするほうが楽です。右を下にしないように促す装置を使った試験では、使った人のほうが夜の胸やけが減っていました10。

布団で寝ている人は、敷布団の下に、たたんだ毛布や座布団を入れて、腰から上をゆるやかに傾ける方⁠法があります。ずり落ちたり腰が痛くなったりすることもあるので、少しずつ試してください。ベッドの頭側を上げた試験でも、こうした困りごとはよく見られました7。

朝のめまい:いつも下にして寝ている側の耳

朝、寝返りを打ったときや起き上がったときに、ぐるぐる回るめまいが数十秒続く。良⁠性⁠発⁠作⁠性頭⁠位⁠め⁠ま⁠い⁠症(BPPV)という、耳の奥の病気のことがよくあります。

このめまいは、いつも下にして寝ている側の耳に起きやすいことがわかっています。いつも右を下にして寝る人の多くは、右の耳でした1112。

治療は、耳鼻科で頭の向きを順に変えて、耳の奥の小さな石を元の場所に戻す方⁠法が中心です。治療のあとに寝る向きを制限するかどうかは、研究でも結論が分かれています1314。治療を受けたら、その医師の指示に従ってください。

3つに共通すること

  • 枕を重ねて首を曲げない。高すぎる枕には、首の血管を傷める危険もあります。
  • 傾けるなら、上半身ごと。
  • 寝る向きを選ぶ。いびきには横向き、胸やけには左が下。

首に合う枕の高さの見つけ方は、枕の選び方のページにまとめています。

こんなときは受診を

  • いびきに加えて、昼間の強い眠気がある、運転中に居眠りしそうになる、眠っている間に息が止まっていると言われた
  • 胸やけに加えて、飲み込みにくい、食べているのに体重が減る、黒い便が出る、血を吐いた
  • めまいが何時間も続く、くり返す、耳鳴りや聞こえにくさを伴う