接骨院・整骨院で健康保険がどこまで使えるのか、窓口で何に署名しているのかを知っておくと手紙が来ても落ち着いて答えられます。

保険が使えるのは、はっきりしたけが

健康保険が使えるとき、使えないとき接骨院・鍼灸院・マッサージ・整体

接骨院・整骨院鍼灸院(はり・きゅう)マッサージ整体・カイロ
使えるときはっきりしたけが(骨折・脱臼・打撲・捻挫・肉ばなれ)。骨折・脱臼は医師の同意神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症などで、医師の同意書がある筋肉のまひや関節が固まるなど医療として必要で、医師の同意書がある使えない(全額自費)
使えない例肩こり・筋肉の疲れ、病気からくる痛み、長く続く施術、仕事中・通勤中のけが(労災)同意書がない。同じ病気で病院の治療を受けている疲れをとる、くつろぐ、予防の目的—
病院と同時に同じけがで病院の治療中は使えない同じ病気で病院の治療中は使えない病院で医療としてのマッサージを受けた日は使えない—
窓口での払い方自己負担分だけ(申請書に署名)いったん全額が原則。自己負担分だけで済む施術所もある同左全額
出典:厚生労働省「柔道整復師の施術を受けられる方へ/はり・きゅうの施術を受けられる方へ/マッサージの施術を受けられる方へ」/全国健康保険協会 船員保険部「柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方」/厚生労働省保険局医療課 同意書リーフレット(令和7年4月版)

接骨院・整骨院で健康保険が使えるのは、骨折や脱臼、打撲、捻挫(肉ばなれを含む)の施術を受けたときです2。国の通知はこれを「外傷性が明らかな」けがと書き、体の組織が損傷を受けてまだ慢性になっていないものとしています3。骨折と脱臼は応急手当を除いて医師の同意がいります2。

健康保険が使えないのは、たとえば次のようなときです12。

  • 単なる肩こりや筋肉の疲れ
  • 神経痛やリウマチ、五十肩、関節炎、ヘルニアなど病気からくる痛みやこり
  • 改善が見られないまま長く続いている施術
  • 病院で同じけがを治療中のとき
  • 仕事中や通勤中のけが(労災保険の扱い)

保険が使えないのに「使えます」と言われて施術を受けると、あとから全額か一部を払うよう求められることがあります1。「ついでにこっちの肩も」という施術も、保険の対象になりません1。

接骨院の保険の申請はほとんどが捻挫と打撲で、患者の年齢でいちばん多いのは70歳代です4。この記事の読者のど真ん中に関わる制度です。

窓口で何に署名しているか

保険の施術は、本来はいったん全額を払ってあとで自分で保険者に請求するのが原則です。接骨院では例外として「受領委任」という形が認められていて、患者は窓口で自己負担分だけを払い、残りを接骨院が保険者に請求します2。

そのために求められるのが、申請書への署名です。署名は「この負傷名とこの日数、この金額で保険に請求してよい」と任せることを意味します1。

  • 負傷名と部位、日数、金額を見てから署名する。
  • 白紙の用紙に署名したり、印鑑を預けたりしない。
  • 領収証と明細書を受け取って、取っておく。

明細書は多くの接骨院で出すことが決まりになっていて、無料か有料かは施術所の中に掲示されています5。2026年7月からは、明細書に負傷名か施術部位を書く欄ができました6。自分が伝えたけがと、書かれた負傷名・部位が合っているかを見てください。

食卓で、領収証と明細書を見比べる女性
食卓で、領収証と明細書を見比べる女性

保険者からの問い合わせ

保険者は負傷の原因や施術を受けた日、施術の中身を電話や文書で問い合わせることがあります1。3か所以上の部位や3か月を超える施術、月に10〜15回以上の施術が続いている申請が、問い合わせの目安とされています7。

問い合わせには、自分で答えます1。いつ、どこで、どうしてけがをしたかは接骨院の記録にも書くことになっています3。施術を受けた日と部位をメモしておけば、何か月もあとに手紙が来ても困りません。

玄関で、届いた手紙を読む男性
玄関で、届いた手紙を読む男性

長く通うとき

長く通っても良くならないときは、けが以外の原因が隠れていることがあります。保険者も一度医師の診断を受けるよう勧めています1。

2026年7月からは、直近1年間に通算8か月以上かつ合わせて9部⁠位⁠以⁠上の施術を受けている人について、保険者がいったん全額を払ってあとで請求する形に切り替えられるようになりました6。けがが治っては別の部位を痛めるという請求が続く例が、保険者の審査で問題にされてきたためです8。

まとめ

  • 接骨院で健康保険が使えるのは、はっきりしたけが。肩こりや疲れ、病気からくる痛みは自費。
  • 骨折と脱臼は、応急手当のあとは医師の同意がいる。同じけがで病院と両方には保険でかからない。
  • 申請書は負傷名・部位・日数・金額を見てから署名する。白紙に署名しない。
  • 領収証と明細書を取っておき、保険者の問い合わせには自分で答える。
  • 長く通っても良くならなければ、医師に診てもらう。

接骨院や整体の資格の違いは看板の違いを、資格と歴史で見分ける、はり・きゅうやマッサージで保険を使うときは医師の同意書は「指示」ではなく「同意」、どこへ行くかの目安は腰や肩が痛いとき、どこへ行くかにまとめています。