自分で確かめる、5つの問い

健康情報を見たら、次の5つを問いかけてみましょう。頭文字をとって「かちもない」と覚えます1。

  • か:書いたのは誰か
  • ち:違う情報と比べたか
  • も:元ネタ(根拠)は何か
  • な:何のための情報か(広告ではないか)
  • い:いつの情報か

「関連がある」と「原因である」は違う

「コーヒーを飲む人は、〇〇の病気が少ない」という研究があったとします。これだけでは、コーヒーが病気を防いだとは言えません。コーヒーを飲む人は、ほかの生活習慣も違うかもしれないからです。

原因かどうかを確かめるには、人を2つのグループにくじ引きで分けて比べる試験(ランダム化比較試験)が必要です。ところがニュースでは、比べる試験ではない研究から「原因」と言い切る書き方が、よく見られます2。

健康ニュースの大げさな表現は、記者が書く前、大学や研究機関の発表の段階で始まっていることも多いとわかっています3。

「半分に減る」は、元の数を見る

「半分に減る」は、100人のうち1人の話かもしれない作例(架空の数字)

100人のうち病気になる人
何もしない2人
〇〇をする1人
言い方①「半分に減る」
言い方②「100人に1人の差」

同じ結果です。元の数を確かめましょう。

出典:作例。根拠:Akl EA, et al. Cochrane Database Syst Rev 2011;CD006776

「病気が半分に減る」と聞くと、大きな効果に感じます。けれども、100人のうち2人がなる病気が、1人になった場合も「半分」です。差は、100人のうち1人です。

同じ結果でも、「半分に減る」と書くほうが、「100人に1人の差」と書くより、大きく、説得力があるように感じられることがわかっています4。「元は何人だったのか」を確かめる習慣をつけましょう。

マウスや細胞の研究は「入口」

「マウスで効果があった」という研究は、人で確かめる前の段階です。動物で効いた治療が、人では効かなかった例は少なくありません5。有望とされた基礎研究のうち、実際に治療として使われるようになったものは、ごく一部でした6。

研究1本より、まとめた指針

注目された研究でも、あとの研究で否定されたり、効果が小さくなったりすることは、珍しくありません7。多くの研究をまとめて、専門家が作る「診療ガイドライン」のほうが、1本の研究より信頼できます8。

根拠の強さの、はしご上に行くほど、信頼しやすい

根拠の種類言えること
5診療ガイドライン多くの研究をまとめた、いまの答え
4くじ引きで比べる試験原因かどうかを確かめられる
3人を観察した研究「関連がある」まで
2動物や細胞の研究人で確かめる前の入口
1体験談その人に起きたこと

1本の研究より、まとめた指針を。

出典:Minds「診療ガイドラインの定義」ほか

「個人の感想です」の体験談

体験談は、印象に残ります。国の調査では、体験談を見た人の多くが「大体の人に効く」と受け取り、「個人の感想です」という注意書きを見ても、その受け取り方はほとんど変わりませんでした9。

病院や診療所のサイトには、治療の効果についての体験談を載せてはいけない決まりがあります10。このサイトにも、体験談は載せていません。

機能性表示食品は「国が効果を確かめた食品」ではない

「機能性表示食品」は、会社が根拠を国に届け出るしくみで、国が効果を審査しているわけではありません。国が審査して許可するのは「特定保健用食品(トクホ)」です11。

2024年には、ある機能性表示食品のサプリメントで腎臓の健康被害が起き、国は、医師が診断した健康被害の報告を会社に義務づけるなど、決まりを見直しました11。

サプリメントや健康食品で体調が変わったと感じたら、やめて医師に相談しましょう。飲んでいる薬がある人は、始める前に医師や薬剤師に伝えてください11。

このサイトの約束

このサイトでは、根拠のもとになった研究やガイドラインを、各ページの最後に示しています。研究でわかっていることと、医師の経験からの考えは、分けて書くようにしています。

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