まず見るのは、5つの系統
結果票には、たくさんの数字が並んでいます。まず見るのは、次の5つです1。
- 血圧
- 血糖(空腹時血糖、またはHbA1c)
- 脂質(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
- 肝臓(AST、ALT、γ-GTP)
- 腎臓(尿たんぱく、eGFR)
数字には「2本の線」がある
国は、それぞれの検査に2本の線を決めています1。
- 保健指導判定値:生活を見直したほうがよい線。
- 受診勧奨判定値:医療機関で相談したほうがよい線。
さらに、国の文例には「すぐに(早めに)受診を」という、もう一段上の線もあります1。
健診の数字には「2本の線」と「急ぎの線」がある数値は「以上」。HDLとeGFRは「未満」
| 項目 | 見直す | 受診 | 急ぎ |
|---|---|---|---|
| 血圧(mmHg) | 130/85 | 140/90 | 160/100 |
| LDLコレステロール(mg/dL) | 120 | 140 | 180 |
| 中性脂肪(mg/dL) | 150 食後175 | 300 | 500 |
| HDLコレステロール(mg/dL) | 40 | — | — |
| 空腹時血糖(mg/dL) | 100 | 126 | 126* |
| HbA1c(%) | 5.6 | 6.5 | 6.5* |
| AST・ALT(U/L) | 31 | 51 | — |
| γ-GTP(U/L) | 51 | 101 | — |
| eGFR | 60 | 45 | 45 |
*治療を受けていない人。受診の線は「すぐ薬」ではありません。血圧140〜159はまず生活を見直し、約1か月後に再検査。糖尿病・腎臓病・心臓や脳の病気がある人、たばこを吸う人は早めに。
「受診勧奨」は、すぐ薬という意味ではない
「要受診と書いてあったけれど、病院に行ったら薬を出されるだけ」。そう思って足が遠のく方もいます。けれども、受診勧奨の線を超えても、すぐに薬が必要とは限りません1。
たとえば血圧が140〜159/90〜99 mmHgなら、国の文例は「生活を見直したうえで、おおむね1か月後に再検査」です。LDLコレステロールが140〜179 mg/dLなら、3〜6か月後の再検査です1。
一方で、次のような場合は、早めに医療機関へ行きましょう1。
- 血圧が160/100 mmHg以上
- LDLコレステロールが180 mg/dL以上、中性脂肪が500 mg/dL以上
- 空腹時血糖が126 mg/dL以上、またはHbA1cが6.5以上で、治療を受けていない
- eGFRが45未満、または尿たんぱくが(+)以上
糖尿病や腎臓病、心臓や脳の病気がある方、たばこを吸う方は、同じ数値でも早めの受診が勧められています1。
判定の言葉は、「いつまでに・何を」に言い換える
「要経過観察」と書いてあると、「今は何もしなくていい」と読みたくなります。人間ドックの学会は、こうしたあいまいな書き方をやめ、再検査の時期をはっきり書くよう求めるようになりました2。
判定の言葉を、「次にすること」に言い換える言葉は健診機関で違います。確かめるのは「いつまでに・何を」
| 判定 | 意味 | 次にすること |
|---|---|---|
| A 異常なし | 今回は基準の範囲内 | 来年も健診を |
| B 軽度異常 | わずかに外れている | 生活を見直し、来年の健診で確かめる |
| C 要再検査・生活改善 (「要経過観察」も) | 時期を決めて測り直す | 書いてある時期に再検査。なければ健診機関に聞く。血圧は家で1週間測る |
| D 要精密検査・治療 | 医療機関で詳しく調べる | 結果票を持って受診(便潜血陽性なら大腸内視鏡) |
| E 治療中 | 主治医のもとで治療中 | 続ける。自分で薬をやめない |
結果票に時期が書いていなければ、健診を受けた機関や、会社の産業医・保健師に「いつ、何をすればよいか」を聞いてみましょう。
結果が届いてからの、次の一手急ぎの線を超えていたら、その日のうちに予約を
| いつ | 何をする |
|---|---|
| 結果が届いた日 | 結果票を読む。急ぎの線を超えていたら、受診の予約を |
| 1週間 | 家で朝と夜に血圧を測り、記録する |
| 約1か月後 | 血圧140〜159/90〜99なら、生活を見直して再検査 |
| 3〜6か月後 | LDL 140〜179、中性脂肪300〜499なら再検査 |
| 次の健診 | 去年の結果と並べて、変わり方を見る |
便潜血検査が陽性なら、大腸内視鏡を早めに。
引き出しにしまう人は、少なくない
会社の健診で「すぐに受診を」という高さの血圧だった人を追いかけた日本の研究があります。年齢の中央値は50歳、ほとんどが会社員です。1年たっても受診も治療もしていない人が、少なくありませんでした3。
血糖が糖尿病の線を超えた働く世代でも、その後に受診した人は少数でした。前の年にも高かった人ほど、受診しない傾向がありました4。
「去年も言われたけれど、何も起きていない」は、行かない理由になりやすいのです。けれども、血圧や血糖は、高くても症状がほとんど出ません。
50代は、手を打つと効く時期
中年期の高い血圧、高いLDLコレステロール、糖尿病、喫煙は、のちの脳卒中や心臓の病気だけでなく、認知症の危険因子にも挙げられています5。国際的な専門家委員会は、40歳から血圧を低めに保つこと、中年期から高いコレステロールを見つけて治療することを勧め、「早いほど、長く続けるほどよい」としています5。
日本の研究でも、中年期に高血圧があった人は、のちに血管が原因の認知症になりやすい傾向がありました6。日本人の成人の死亡に影響する要因では、喫煙と高血圧が大きな2つです7。
認知症の危険因子については、認知症の「なりやすさ」には、変えられるものがあるにまとめています。
血圧は、家でも測る
健診の日だけ血圧が高い、という方もいます。だからこそ、家で測りましょう。
受診したあとの血圧の目標は、主治医と相談して決めます8。
がん検診の「要精密検査」は、次の検査で完結する
便の検査(便潜血検査)で陽性と言われたら、次に受けるのは大腸内視鏡です。もう一度便の検査をやり直すのは、精密検査には数えられません910。
「痔のせいだろう」と思って受けずにいると、見つかるはずのがんが見つからないままになります。大腸がん検診は、ほかのがん検診に比べて、精密検査を受ける人が少ない検診です11。
会社の健診に、がん検診が含まれているかどうかは、職場や健康保険組合によって違います。案内が届いたら、確かめておきましょう9。
こんなときは、健診を待たずに救急車を
- 片方の手足や顔に、まひやしびれが出た
- ろれつが回らない、言葉が出ない
- 立てない、歩けない、ふらつく
- 片方の目が見えない、物が二重に見える
- 経験したことのない、激しい頭痛
これらは、脳卒中のサインです12。すぐに救急車を呼びましょう。